【ボストン】地下鉄MBTA完全ガイド|乗り方・料金・治安・空港アクセス

アメリカの地下鉄と聞くと、「治安が悪そう」「旅行者が乗るのはちょっと怖い」というイメージを持つ方は多いと思います。私も渡米前は同じように身構えていました。

でも、約2年間ボストンに住み、毎週のようにMBTAを使っていた私の今の感覚は、少し違います。

たしかに、日本の地下鉄に比べれば古い駅も多く、未だにエレベーターのない駅もありますし、時間どおりに来ないことも珍しくありません。治安も、路線とエリアによってかなり差があります。それでも、乗る時間帯とエリアさえ選べば、旅行者でも十分に使える交通機関です。

私は夫の大学院留学に帯同してボストンへ渡り、当時1歳だった長男と、途中で生まれた次男を連れて暮らしていました。車を持たない生活だったので、MBTAは病院へ行く日も、買い物の日も、友人宅へ遊びに行く日も、観光に出かける日も、本当に頼りになる存在でした。

この記事では、旅行ガイドにはあまり載っていない、車なし・子連れで使ったからこそ分かったリアルを、次の順番でお伝えします。

雪の積もるボストンを走る地下鉄MBTAレッドラインの車両

MBTAとは?ボストンの地下鉄と4つの路線

MBTA(Massachusetts Bay Transportation Authority)は、ボストン都市圏の公共交通機関です。地下鉄のほかに、バス、コミューターレール(近郊鉄道)、フェリーまで運営しています。地元では路線カラーから「the T」と呼ばれています。

旅行で使うのは、ほとんどの場合が地下鉄です。路線が色で分かれているので、行き先さえ決まっていれば迷いにくいのがありがたいところでした。観光の中心になるのは、次の4路線です。

  • レッドライン(Red Line):MIT、ハーバード、ボストン中心部へ
  • グリーンライン(Green Line):フェンウェイ・パークや西側の住宅街へ
  • オレンジライン(Orange Line):南北を縦断
  • ブルーライン(Blue Line):ローガン国際空港方面へ

主要な観光地の多くは、この4路線でアクセスできます。郊外へ足を伸ばすときは、これに紫色で示されるコミューターレール(Commuter Rail)が加わります。それはパープルライン(Purple Line)と呼ばれています。

MBTAの乗り方|改札からホームまでの流れ

基本の乗り方は、日本の地下鉄とそれほど変わりません。改札があって、タッチして通る、というシンプルな仕組みです。

  1. CharlieCard、CharlieTicket、またはタッチ決済を用意する
  2. 改札(ゲート)にタッチする
  3. ホームへ向かう
  4. 進行方向を確認して乗車する

駅によっては設備が古いままですが、案内表示は比較的分かりやすく、Google マップと併用すればまず迷いません。私も土地勘のないうちは、スマホの地図を見ながら乗っていました。

駅に並ぶMBTAの改札(Charlieゲート)
ずらりと並ぶ改札。カードやスマホをかざして通ります。
MBTAの改札のアップ(Charlieゲートのタッチリーダー)
改札のタッチ部分。ここにカードやスマホをかざします。

CharlieCard・CharlieTicket・タッチ決済の違い

支払い方法は主に3つあります。旅行の日数で選ぶと分かりやすいです。

CharlieCard は繰り返し使えるICカードで、日本のSuicaに近い感覚です。長期滞在や留学中なら、1枚持っておくと便利です。学生証に紐づけることもできます。

CharlieTicket は券売機で買える紙のチケットです。短期滞在で、ICカードを作るほどではないときに向いています。

タッチ決済 は、私が住んでいた頃には広まっていませんでしたが、その後に導入が進みました。今はタッチ決済対応のクレジット/デビットカードや、Apple Pay・Google Payなどのスマホ決済を、改札にそのままかざして乗れます。地下鉄・バス・フェリーで使えるので、数日の観光ならこれが一番身軽だと思います。

どの方法でも運賃は同額です。旅行者にとっては、ここ数年でぐっと使いやすくなった印象です。

私が一番使ったKendall/MIT駅

私が最もよく使ったのは、MITの最寄りでもあるKendall/MIT駅です。

寮から歩いてすぐの場所に入口があり、市内へ出るたびにここから乗っていました。

この駅は2023年に大きくリニューアルされ、明るくきれいに生まれ変わっています。個人的に印象に残っているのは、改札のあたりに駅員さんが立っていることが多く、困った時にすぐ相談できたことです。旅行中は「英語でちゃんと聞けるかな」と不安になる場面もあると思いますが、人がいてくれるだけで安心感がありました。改札を抜けると目の前がホームなので、動線もシンプルで使いやすい駅でした。

MBTAの料金|最新の運賃と料金早見表

MBTAの地下鉄は、どこまで乗っても運賃が一律なのが分かりやすいところです。以下は執筆時点(2026年8月)の料金です。

種類料金(米ドル)こんな人に
地下鉄 片道$2.401〜2回だけ乗る
1日パス(24時間乗り放題)$11.001日にあちこち回る
7日パス(7日間乗り放題)$22.50数日〜1週間の滞在

支払い方法(CharlieCard・CharlieTicket・タッチ決済・現金)による運賃差はありません。タッチ決済かCharlieCardを使うと、決められた時間内の乗り継ぎで割引が効くしくみもあります。

ざっくり言うと、1日に3〜4回乗るなら1日パス、滞在中に何度も動くなら7日パスが目安です。数回しか乗らない予定なら、その都度タッチ決済にしておくのが手軽でした。

※運賃は改定されることがあります。おでかけ前に公式サイト(mbta.com)で最新の金額を確認しておくと安心です。

MBTAの券売機(CharlieCard・CharlieTicket購入機)
券売機ではCharlieTicketやCharlieCardを購入できます。

MBTAの治安は?2年住んで感じたこと

「ボストンの地下鉄って、危なくないですか?」

これは本当によく聞かれる質問です。2年間暮らしてみて私が思うのは、ひとことで言えば「路線とエリアによる」ということです。

日本の地下鉄のように、どこへ行ってもほぼ同じ雰囲気で安全、ということはありません。同じレッドラインでも、数駅違うだけで街の空気ががらりと変わります。夜遅い時間の利用は基本的に避けていましたが、昼間なら私と子どもたちだけで安心して乗れる区間もたくさんありました。

その一方で、正直に言うと、乗るのを少しためらうエリアもあります。

だからこそ、「どの路線のどのあたりを通るのか」を先に知っておくことが、いちばんの安心材料になります。次は、私が実際によく使った路線ごとに、乗ってみた印象をお話しします。

路線ごとの特徴と治安|実際に使って感じた印象

MBTAは同じ地下鉄でも、路線によって雰囲気がかなり違います。日本だと「地下鉄はどの路線もだいたい同じ」という感覚がありますが、ボストンでは乗る路線で街並みも利用者層も変わります。

レッドライン|MIT・ハーバードへ行くなら出番No.1

MBTA Kendall駅の路線図
MBTAレッドラインのKendall駅入り口。MITキャンパスにある。
MITのキャンパスにレッドラインのKendall/MIT駅の入口があります。

私が一番使ったのがレッドラインです。MITやハーバード大学、ボストン中心部へ向かうときに出番が多く、キャンパスに住んでいた私にとっては生活の軸のような路線でした。

MIT最寄りのKendall/MIT駅から、Charles/MGH駅のあたりまでは、落ち着いて乗れる印象です。大学や病院、オフィス街があり、学生や会社員の利用が多いエリアでした。

一方で、Central Square周辺では少し雰囲気が変わります。路上生活をされている方や、大きな声で話している方を見かけることもあり、初めてだと驚くかもしれません。

それでも昼間は乗客も多く、「怖くて乗れない」と感じたことはありませんでした。夜遅い時間を避けるといった基本的な注意をしていれば、旅行でも十分に使える路線だと思います。

MBTAレッドラインの車内

グリーンライン|私が一番好きだった路線(ただし古い車両に注意)

MBTAグリーンラインの車内

個人的に一番好きだったのはグリーンラインです。理由はとても私的なもので、近所に住んでいたアメリカ人の友人がニュートンに家を買い、遊びに行くたびにこの路線に乗っていたからです。

ニュートンはボストン郊外でも特に人気の高い住宅街で、緑が多く、大きな一戸建てが並ぶ美しい街並みが続きます。サンクスギビングに招いてもらったり、アメリカの家庭での過ごし方を教えてもらったり。グリーンラインに乗る時間は、いつも少しわくわくしていました。治安の面でも、高級住宅街や大学、オフィス街を通ることが多く、比較的落ち着いて乗れる路線という印象です。

ただ、子連れで乗るなら一つだけ大きな注意点があります。グリーンラインは新しい車両と古い車両が混在していて、問題は古いほうです。乗車口に急な階段が数段あり、ベビーカーをそのまま乗せるのはほぼ不可能でした。段差ではなく階段なんです。

しかも「次に来るのは古い車両です」といったアナウンスはありません。電車が着いて初めて「これは階段があるタイプだ」と気づき、その場で慌てて判断することになります。電車に乗り込むために、子どもを抱えながらベビーカーを持ち上げ、急な階段を上らなくてはいけないというのは、結構なストレスでした。

オレンジライン|昼間でも少し緊張感がある

オレンジラインは、地元でも「治安には少し気をつけたほうがいい」と言われることが多い路線ですが、私もAssembly Rowへ遊びに行くときなど、何度も使いました。

実際に乗ってみると、昼間でも薬物の影響を受けているように見える方がいたり、乗客同士のトラブルで列車が一時停止したりする場面に出くわしたことがあります。もちろん毎回ではありませんが、ほかの路線と比べると少し緊張感があるのは事実でした。旅行で使うなら、できるだけ昼間の時間帯をおすすめします。

コミューターレール(紫)|郊外へは便利。でも子連れは要注意

ニュートン方面へ行くときは、地下鉄だけでなくコミューターレール(近郊鉄道/路線図では紫色)を使うこともありました。二階建ての車両も多く、座席はベンチシートのような造りで、日本の電車とはかなり雰囲気が違います。郊外へ向かうゆったりした空気が流れていて、この路線も好きでした。

MBTAパープルラインの車内

ただ、子連れだと乗車時にかなり注意が必要です。駅によってはホームと車両の段差や隙間がとても大きく、ベビーカーごと落ちてしまいそうなほどでした。

実際、私が一人で幼い子どもを連れて病院へ向かう途中、この大きな段差に直面したことがあります。子どもを先に降ろし、ベビーカーを畳んで、どうしようと焦っていると、周りの乗客がすぐに声をかけてくれました。「子どもは見ておくよ」と手を引いて先に乗せてくれた方。ベビーカーを持ち上げて車内まで運んでくれた方。誰一人として嫌な顔をせず、ごく自然に助けてくれたことを、今でもよく覚えています。

ボストンでは車移動の家庭がほとんどで、周りのママ友もほぼ全員が車を持っていて「電車はほとんど使わない」と話していました。だからこそ、日本語ではこうした子連れならではの情報がなかなか見つかりません。私は車がなく土地勘もない中でMBTAに頼らざるを得ず、不便を感じた場面は何度もありました。それでも、そのたびに誰かが自然に手を差し伸べてくれたことは、ボストン生活の温かい思い出として残っています。

子連れでMBTAを使って感じたこと

正直に言うと、日本の鉄道に慣れていると、不便、不安に感じる場面は多いと思います。

まず驚いたのはエレベーターです。未だにエレベーターのない駅があったり、設置されていても故障していることが珍しくありません。私も「修理中」の表示を何度も見ました。ベビーカーで移動していると、せっかく駅まで来たのに使えず、遠回りをしたり、人に助けてもらったりしたことが何度もあります。日本のようにバリアフリーが行き届いているとは、残念ながら言えません。

その一方で、不思議なくらい人に助けてもらえる街でもありました。階段でベビーカーを運んでくれる人、ドアを押さえて待っていてくれる人、子どもに笑顔で話しかけてくれる人。設備は日本ほど整っていなくても、人の優しさに何度も救われました。子連れでの移動は大変でしたが、その大変さと同じくらい、温かさも記憶に残っています。

ローガン国際空港から市内へのアクセス

ボストンの玄関口、ローガン国際空港(Logan International Airport)は市内中心部からとても近く、MBTAを使えばリーズナブルに移動できます。方法は大きく2つです。

MBTAシルバーラインのサイン

シルバーライン(SL1)|空港発は無料

一番手軽なのがシルバーライン(Silver Line)のSL1です。空港の各ターミナルから乗れて、サウスステーション(South Station)まで一直線。そこでレッドラインやコミューターレールに乗り換えられます。

うれしいのは、空港から市内方面へ向かうSL1は運賃が無料なこと。荷物が少なければ、これだけで中心部までたどり着けます。

ブルーライン|無料シャトル+片道$2.40

もう一つは、無料のマスポート・シャトルバスでAirport駅へ向かい、そこからブルーラインに乗る方法です。シャトルは無料で、ブルーラインの運賃は片道$2.40。ブルーラインからは、State駅でオレンジライン、Government Center駅でグリーンラインへ乗り換えられます。

タクシー・Uberを使うなら「チャイルドシート」に注意

大きなスーツケースが複数あるときや、小さな子ども連れのときは、タクシーやUberを選ぶ方もいると思います。ここで、日本人旅行者が意外と知らない大切な注意点があります。

日本では、小さな子どもを連れていてもタクシーにそのまま乗れることがほとんどです。でもアメリカでは事情が違います。マサチューセッツ州では、8歳になるか、身長が57インチ(約145cm)を超えるまで、年齢や体格に合ったチャイルドシートやブースターシートの使用が求められています。

実際に、知らずにUberを呼んで、チャイルドシートがなかったために乗車を断られた日本人家族の話も耳にしました。我が家は車を持っていませんでしたが、子ども用のチャイルドシートはきちんと用意していました。とはいえ、私一人で幼い子ども2人を連れて動くとなると、チャイルドシートを2台持ち歩いて取り付けるのは現実的ではありません。

だからこそ、我が家にとってMBTAはただの交通機関ではなく、生活に欠かせない移動手段でした。病院へ行く日も、買い物の日も、友人宅を訪ねる日も、街を散策する日も、MBTAがあったから行動範囲を広げられたのだと思います。

日本の地下鉄とは違う。でも、ボストンらしさを感じられる

日本の鉄道は、時間通りに来て、駅は清潔で、エレベーターも整っていて、安心して使えます。その環境に慣れていると、MBTAには戸惑うことも少なくありません。列車は遅れることがありますし、駅の設備は古く、エレベーターが故障していることもある。路線によっては治安に気をつけたい区間もあります。正直に言えば、「快適だから好き」という交通機関ではありませんでした。

それでも私にとってMBTAは、ボストンでの暮らしを支えてくれた大切な存在です。車のない生活でもMITへ通い、市内へ出かけ、フェンウェイ・パークでレッドソックスを応援し、ニュートンの友人宅へ遊びに行き、子どもたちを病院へ連れて行くことができました。

そして何より心に残っているのは、困ったときに何度も、誰かがごく自然に手を差し伸べてくれたことです。設備だけを比べれば、日本の鉄道のほうがはるかに便利でしょう。でも、人の温かさという意味では、MBTAでの移動はボストンという街の魅力を教えてくれる時間でもありました。

まとめ|路線と時間帯さえ押さえれば、旅行者でも使える

ボストンの地下鉄MBTAは、日本の地下鉄とは違う部分がたくさんあります。路線によって治安や雰囲気が変わるので、どの路線を使うのかを先に確認しておくと安心です。子連れなら、エレベーターの有無やベビーカーで乗りやすい車両など、日本にはない不便さがあることも知っておくと心構えができます。

その一方で、MIT、ハーバード大学、フェンウェイ・パーク、ボストン・コモンといった主要スポットを効率よく巡れるのは、MBTAならではの魅力です。旅行はもちろん、留学や駐在で少し長く滞在する方にとっても、きっと頼りになるはずです。

もし初めてボストンを訪れるなら、少しだけ勇気を出してMBTAに乗ってみてください。街の空気を感じながら移動する時間も、きっと旅の思い出のひとつになります。

MBTAのsouthstationのプラットフォーム

よくある質問(FAQ)

Q1. ボストンの地下鉄MBTAの料金はいくらですか?

地下鉄は距離に関係なく片道$2.40です(執筆時点)。24時間乗り放題の1日パスが$11.00、7日パスが$22.50。支払い方法による運賃差はありません。改定されることがあるので、最新額は公式サイト(mbta.com)でご確認ください。

Q2. MBTAは旅行者でも安全に使えますか?

路線とエリア、時間帯によります。レッドラインやグリーンラインの中心部・住宅街は昼間なら落ち着いて使える印象で、オレンジラインや一部エリアは少し注意したいところ。夜遅い時間を避け、行き先の路線を事前に確認しておけば、旅行者でも十分に使えます。

Q3. ローガン空港から市内へはどう行くのが安いですか?

シルバーライン(SL1)が手軽です。空港発は無料で、サウスステーションまで直行しレッドラインに乗り換えられます。ブルーラインを使う場合は、無料のマスポート・シャトルでAirport駅へ行き、片道$2.40で市内へ向かえます。

Q4. 子ども連れでタクシーやUberに乗るときの注意点は?

マサチューセッツ州では、8歳になるか身長57インチ(約145cm)を超えるまで、チャイルドシートやブースターシートの使用が必要です。持っていないと乗車を断られることもあるため、子連れの移動はMBTAも選択肢に入れておくと安心です。


本記事は、2021〜2023年にボストンで暮らした一個人の滞在経験に基づく所感です。料金・運行・設備の情報は執筆時点(2026年8月)のもので、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

本記事の内容は執筆時点の情報であり、現在の状況と異なる場合があります。渡航・手続等の際は、公式サイトや公的機関等で最新かつ正確な情報を必ずご確認ください。