ドイツの教育制度 留学生も学費は無料?

ドイツに住んでみて驚いた、ドイツの教育システム(学校)についてご紹介したいと思います。州によっては10年のところもあるのですが、基本的にドイツの義務教育は9年です。日本の小学校にあたる基礎学校は、Grundschule(グルントシューレ)と呼ばれ、子供たちはそこで4年間学びます。その後、以下3つのうち、いずれかに進みます。

 

①基幹学校…卒業後に就職予定の生徒が進む、職業訓練を受けるための5年制の学校

②実科学校…卒業後に職業教育学校に進む者や中級の職につく者が主に進む6年制の学校

③ギムナジウム…大学進学を希望する生徒が進む9年制の学校

 

どれに進学するかは、生徒の成績や適性、素行などに基づいて、小学校により生徒が4年生時に作成される推薦書に従うことが多いようです。以上のことから、ドイツにおいては、日本でいう小学校4年生の段階で、子供たちはある程度将来どのような職業に就きたいのかを明確にし、親もそれを把握しておく必要があるということです。そのため、ドイツの親は子供が幼い頃から様々な職業の見学や体験に連れて行ったり、将来の話をしたりするようです。ただし、ケースによっては途中で学校を変えることも可能であり、また基幹学校や実科学校を卒業した後に大学進学を希望する場合は大学入学資格を得ることも出来るので、小学校4年生時点での選択から全く身動きが取れないという訳でありません。実際私の友人にも、親の希望で実科学校へ通っていたけれど、途中で本人が大学進学を希望したため、ギムナジウムへ転向し、その後大学進学をした人がいます。

 

基幹学校卒業後は職業学校に行くと同時に企業内で職業訓練を受けることが一般的です。この職業訓練の制度はデュアルシステムと呼ばれています。

実科学校卒業後は、デュアルシステムへ進むケースと、専門学校に進むケースに分かれます。

ギムナジウム卒業者の大半は、大学へ進学することになりますが、その進学先はギムナジウムの最終学年である12年生時(13年生の州もある)に、二回まで受ける事ができる卒業試験の結果に大きく左右されることになります。この卒業試験はアビトゥーアと呼ばれるのですが、全国統一のものでありながら、州によって難易度が異なっていることが現在問題となっています。バイエルン州での難易度の高さは耳にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。この差を解消するため、2017年から一部の教科で全国統一基準が採用されるなど、ドイツ国内での不公平が是正される努力がなされているようです。

 

ちなみに、ドイツの大学の大半において学費は無料となっていて、驚くべきはそれが外国人留学生にも適用されるという点です。アメリカやイギリスにおける大学の費用が高いことは日本のニュースでもよく目にしますが、近年ではアメリカ人やイギリス人が留学生としてドイツの大学において就学していることも多いようです。日本ではドイツの大学の学費事情があまり知られていないことと、言語の問題で、まだ日本人留学生はそれほど多くはありませんが、それでも以前よりはだんだんと増えてきている印象です。

 

そういえば、先日、ハイデルベルクに用事があり、街中を歩いていた時、ドイツ人と日本人の5人グループが日本語で会話をしているのを耳にしました。ハイデルベルク在住の友人に聞くと、そのエリアでは日常茶飯事とのことです。ハイデルベルク大学(ルプレヒト・カール大学ハイデルベルク)では日本学研究が進んでおり、日本語を学んでいるドイツ人も、日本からの留学生も多いようです。

 

以上、今回はドイツでの教育制度についてご紹介させて頂きました。