MBAは英語力よりコミュ力|授業・グループワークで評価される人の共通点【MIT Sloan】

「英語がそこまで得意じゃないのに、MBAの授業についていけるのだろうか」——受験を考えている方の多くが、この不安を抱えていると思います。

私自身もそうでした。

結論から言うと、必要なのは高い語彙力ではなく「コミュ力」です。この記事では、MIT Sloanを卒業した私が、英語への不安に正面から答えつつ、授業やグループワークで実際に評価される人の共通点、そして多様な経歴の中で「自分を見失わない」ための考え方をお話しします。

関連記事:シリーズ総論はこちら → 「入学前に勘違いしていた10のこと」(記事①)

英語の語彙力は最低限でいい。必要なのは「コミュ力」

意外かもしれませんが、他国から来たinternational student(留学生)でも、英語がそれほど得意でない人はたくさんいます。大事なのは語彙力そのものではなく、「話そうとする意志」と「誰とでも仲良くなろうとするコミュ力」です。

実際、無口な学生よりも、多少片言でも自分の意見をよく言う学生のほうが評価されやすい傾向にあります。しかも、コミュ力が高い人ほど英語を吸収するスピードが速く、卒業する頃にはかなりの英語力を身につけている人も多いのです。

そして、これは就職活動でも同じです。就活の核心はネットワーキングで、その場面では「知らない人といかに会話を広げられるか」が問われます。これは英語力というより、コミュニケーション能力の問題であることがほとんどです。結局、コミュ力が高い人ほど、自分からチャンスを作れる確率が上がります。

ここで一つ、勘違いしやすい点があります。「良い学校ほど手取り足取りサポートしてくれる」と思いがちですが、実態は違います。リソースは探せばあるものの、自分から動かない限り、学校側が特別に助けてくれるわけではありません。道が用意されているようで、自分から積極的に動かないとどこにもたどり着けない——それがMBAです。アンテナを広げ、自分で開拓していくうえで、コミュ力は必須だと感じました。

英語が苦手でも成功する学生がいます

分かりやすい例が、ラテンアメリカ諸国から来た学生たちです(私の学校では、彼らを親しみを込めて「Latin Mafia」と呼んでいました)。彼らは英語力がそれほど高くなくても、授業では自信満々に発言しますし、グループワークでも「自分はこう思う、こう進めた方がいい」とはっきり主張します。

合っているかどうかは別として、「何も話さないより、自分の考えを示すほうが偉い」と認識されていますし、実際にグループワークでも物事が前に進みます。彼らは独自のネットワークを活用しながら、ニューヨークやベイエリアで就職を決めていく人も多い。語彙力だけなら日本人のほうがあるのでは、と思うことすらありますが、持ち前のコミュ力とネットワークで乗り切ってしまうのです。

ただし、そのまま真似はしないほうがいい

ラテンコミュニティは米国内に非常に大きなネットワークがあり、置かれている環境が他のinternational studentとは根本的に違います。だから就活も「どうにかなる」ケースが多いのですが、そこは前提条件が異なります。学ぶべきは「堂々と発言する姿勢」であって、英語学習を後回しにする言い訳にはしない——このバランスが大切だと思います。

授業は「発言してなんぼ」

MBAの成績評価には、「授業での貢献」——つまり授業中の発言——という項目があります。TA(ティーチング・アシスタント)が毎回、誰が発言したかを記録しているほどです。

そのため、時には「ポイント稼ぎ」を意識してか、「なぜこのタイミングでそれを聞くのか」というような質問が飛び交うこともあります。正直、日本人ならまず聞かないような質問も出てきますが、それでも「発言しない」よりは評価されます。ただし、周りもちゃんと聞いていて、「あいつの発言、中身がないな」というのはみんな感じています。やりすぎは禁物です。

逆に、グループワークで「普段は発言しないのに、いざとなるととてつもなく能力が高い」という人もいます。それは後々の高評価につながることもありますが、全員が気づくわけではなく、評価されないまま終わることも多い。だからこそ、やはり「発言しないこと」は損なのです。

もし授業で英語につまずいてなかなか発言できない場合は、授業後にその旨を教授へメールで伝えると、理解してもらえるケースが多いようです。一人で抱え込まず、周りに相談することも立派な戦略です。

自分より特殊な経歴の人は、いくらでもいる

トップスクールに来て驚くのは、経歴の多様さです。そもそも1割以上が軍隊出身で、そのほかにも医師、起業家、元プロスポーツ選手、王族まで。日本でよく見るMBA出身者とはまったく違うプロフィールの人が多く、逆に、日本のMBAコミュニティがかなり限られた人材プールから来ていることがよく分かります。

こうなると、経歴だけで目立つのはほぼ不可能です。たとえばリーダーシップ一つとっても、米軍出身のクラスメートから「銃弾が飛び交う中でヘリコプターを飛ばし、負傷者を一人も出さずに任務を完遂した」といった話が当たり前のように出てきます。よほどの修羅場をくぐってこない限り、エピソードの強さで勝負するのは難しいのです。

私自身、日系コンサルから独立し、所属先の創業・事業拡大に携わってからのMBA留学という、日本人の中では「特殊」な経験・スキルを持っているという自負がありました。でも、いざ来てみると、まったく目立たない経歴でした。

大事なのは「誰より優れているか」ではなく「自分は何者か」

どの分野でも自分より優秀な人がいる中で比較を続けると、「それって本当に自分の強みなの?」「本当に自信を持って言えることなのか?」と、軸がブレてしまうことがあります。

特にコンサル畑から来ると、これに陥りがちです。自分は限られた業界知識しかない、しかもそれは日本市場が中心で、アメリカ市場はアメリカ人のほうが詳しい。戦略やマーケティングには自分より頭の切れる人がたくさんいて、ファイナンスはファイナンス出身者、アカウンティングはCPAとしてバリバリ働いていた人には敵わない。リーダーシップが強いわけでもないし、性格的にみんなをぐいぐい引っ張るタイプでもない。会社の創業には携わったが、あくまでアドバイザリーファームで、何か「モノ」を作ったわけでもない……。そうやって考えるうちに、「自分の強みって何だっけ」「自分って何者なんだ」と迷走してしまうのです。

でも、これは他人と無意味に比較してしまうから起きること。自分自身に矢印を向けて、他人と比べずに「自分がどういう人間で、どうありたいか。そのために何が必要か」を問い続けるようにしたら、迷走はしなくなりました。スタンフォードのエッセイで問われる “What matters the most to you, and why?” のように、「自分とは何者か」を問い続けることが、入学後もずっと大切なのだと実感しています。

ちなみに「衝撃を受けた」とまではいきませんが、West PointやAnnapolis(米国の陸軍・海軍の士官学校)出身者は、総じて頭の切れも、グループワークでのリーダーシップも、人間としての成熟度も高く、オールマイティだと感じました。ビジネス知識では劣る部分があっても、それを完全にカバーする理解力と統率力があり、アメリカの安全保障面での強みを間接的に知れた気がします。

さらに余談ですが、感覚値で5%以上の学生がLGBTQ+に該当していたのではないかと思いますし(基本的に皆オープンです)、「家族の中で初めて大学を出た」という人も多くいました。日本のMBAコミュニティではなかなか出会わない人々に囲まれる中で、それまで持っていた「自分とは何者か」の答えも、少しずつ変わっていきます。新しい価値観に触れ、新しい「自分」を見つけることも、MBA留学の大切な時間だと思います。

まとめ:発言をためらわないメンタリティを持つ

「自分は英語が話せないから」と恥ずかしがったり躊躇したりするのではなく、堂々と発言するメンタリティ——これがMBAで最も効いてくる力です。語彙力は後からついてきます。まずは、片言でも自分の考えを口に出すこと。その一歩が、授業での評価も、就活のチャンスも、そして「自分とは何者か」という問いへの答えも、少しずつ引き寄せてくれます。

次回(記事④)は、その先の話——「MBAの就活はネットワーキングが9割」というテーマで、Why MBAが変わってもいい理由と、人脈を味方につける動き方をお話しします。

関連記事:次回 → 「MBAの就活はネットワーキングが9割」(記事④)

関連記事:前回 → 「MBA受験で知っておきたかったこと」(記事②)

よくある質問(FAQ)

Q1. MBAに必要な英語力はどれくらいですか?

A. 語彙力は最低限で大丈夫です。それ以上に、話そうとする意志とコミュ力が評価を左右します。コミュ力が高い人ほど、英語も速く伸びていきます。

Q2. 英語が話せなくてもMBAでやっていけますか?

A. やっていけます。無口な人より、片言でも意見を言う人のほうが評価される傾向があります。実際、英語が苦手でも就職を決める学生は少なくありません。

Q3. 授業で発言できないときはどうすればいいですか?

A. 一人で抱え込まず、授業後に教授へメールで事情を伝えるのがおすすめです。理解してもらえるケースが多くあります。

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