MBAの就活はネットワーキングが9割|Why MBAは変わっていい【M7卒業生のリアル】

「MBAに行けば、こういうキャリアに進める」——入学前は、多くの人が明確な青写真を描いています。私もそうでした。ですが卒業した今振り返ると、

実際のキャリアは、その青写真の通りに進むとは限りません。そして、それはまったく悪いことではないのです。

この記事では、MIT Sloanを卒業した私が、「MBAのキャリアはどう決まるのか」を正直にお話しします。結論を先に言えば、鍵はネットワーキング。学校の知名度ではなく、自分からどれだけ人に会いに行けるかで、進む道は大きく変わります。

関連記事:シリーズ総論はこちら → 「入学前に勘違いしていた10のこと」(記事①)

「Why MBA」は入学前と卒業後で変わっていい

当たり前のようで意外と知られていないのですが、入学前に書いた「Why MBA(なぜMBAに行くのか)」や「将来のあるべき姿」を、卒業時に気にしている人はほとんどいません。

もちろん、当初の予定通りのゴールに一直線で進む人もいます。一方で、卒業前に進路を聞くと「え、その業界に関心あるなんて言っていたっけ?」という人も結構多いのです。ただ、誤解してほしくないのは、「たまたま面接を受けたら受かった」というケースは非常に稀だということ。多くの場合、その業界について下調べをし、関連する授業を取り、クラブ活動でネットワーキングをするなど、在学中にそのキャリアを意識した行動をきちんと取っています。

キャリアは、多少方向転換(pivot)させても構いません。むしろ、MBAを通じてキャリア観や人生観が大きく変わってこそ、MBAに行った価値がある——私はそう感じています。

「Entrepreneurship Trek」参加者の多くは、起業しない

分かりやすい例が、MIT SloanのEntrepreneurship Trek(起業をテーマにしたスタディツアー)です。参加すると起業家やスタートアップの現場に触れられるのですが、実際には、参加した学生の大半は起業やVC(ベンチャーキャピタル)とはまったく関係のない進路へ進みます。

これは「入学前の興味」と「卒業後の進路」が必ずしも一致しないことを、よく表しています。関心の入り口は自由でいいのです。そこで得た視点が、結果的にまったく別のキャリアに活きることも多い。だからこそ、「最初に掲げたWhy MBAを守らなければ」と気負う必要はありません。

就活は、結局ネットワーキング

では、その進路はどう手繰り寄せるのか。答えは、ネットワーキングです。就活の場面では、「知らない人といかに会話を広げられるか」が問われます。前回の記事でもお話ししたとおり、これは英語力というより、コミュニケーション能力の問題であることがほとんどです。

そして何より、待っているだけでは何も起こりません。MBAは道が用意されているようでいて、自分から積極的に動かない限り、どこにもたどり着けない場所です。学校側も、自分から動く人にしかリソースを差し出してはくれません。

「Sloanies helping Sloanies」の強さ

とはいえ、動きさえすれば、MBAのコミュニティは驚くほど力を貸してくれます。MIT Sloanには「Sloanies helping Sloanies」——スローニー(Sloan生)がスローニーを助ける——という文化が根づいていて、これが就活で本当に効きます。

就活中、「こういう業界の、こういう人を紹介してくれない?」と投げかけると、即レスで返信が来ることが何度もありました。しかも複数人から一斉にDMが届くこともあります。紹介してもらった相手もSloanieだと、話が弾みやすく、そこからさらに別の人を紹介してもらえることも多い。実際、卒業した今でも「アメリカで〇〇をやっている人・業者を紹介してくれる?」と聞けば、割とすぐに誰かしらから反応が返ってきます。一度きりの関係ではなく、一生続くネットワークなのだと実感します。

反省:もっと早く動けばよかった

ひとつ反省を挙げるなら、「もっと早く動いていれば、いろいろな人と話せるチャンスがあったのに」ということです。失敗というほどではありませんが、これは正直な後悔です。

やはり実際に話してみると、その企業・職種に対する解像度が一気に高まりますし、企業や業界ごとの違いも見えてきます。特に、事業会社のCorporate Strategy(事業戦略)やスタートアップ系の仕事は、企業によってカルチャーも働き方も業務スコープもまるで違います。だからこそ、直接話を聞きながら「自分の経歴をどう活かせるか」を確かめることを強くおすすめします。

動き出しは、早ければ早いほどいい

ネットワーキングは「就活が本格化してから」では遅いことが多いです。学生という立場は、相手に警戒されずに話を聞ける、期間限定の特権。興味が固まりきっていない段階でも、早めに人に会っておくと、そこで得た解像度が志望先の絞り込みそのものを助けてくれます。

OB・OGネットワークという、一生モノの資産

なぜ、これほどまでにネットワークが効くのか。その背景には、アメリカ特有の「学歴観」があります。

アメリカ人は、思っている以上に「どの大学を卒業したか」を気にします。ただし、日本の「偏差値的な学歴」とは少しニュアンスが違います。「どういうネットワークの繋がりに属しているか」「どういうコミュニティに属していそうか」を把握するための情報という意味合いが強いのです(そしてブランド力のある大学ほど、強力なネットワークを持っている傾向があります)。

母校への誇りも非常に強く、50代・60代になっても、平気で母校のロゴが入ったTシャツを着ます。大学スポーツの応援で「Go 〇〇(大学名)」というフレーズも日常的に耳にします。OB・OGのネットワークも強力で、日本の三田会(慶應OB会)がかわいく感じるほどの学閥社会です。M7に入るということは、すなわち、どれだけ強いOB・OGネットワークに入るかに直結する——アメリカ人がM7というブランドにこだわる理由も、ここにあるのかもしれません。

まとめ:学生という立場を、使い倒す

もし在学中に戻れるなら、私は学校のOB・OGネットワークや各種イベントをもっと駆使して、幅広い業界の人と話す時間を増やします。これは就活のためだけではありません。学生だからこそ、警戒されることなく、いろいろな人に話を聞けるからです。

日本ではなかなか会う機会のない人にも、学生という立場ならアタックできます。断られることを気にせず、どんどん連絡を取って話を聞く——その積み重ねが、キャリアの選択肢を確実に広げてくれます。

次回(記事⑤・最終回)は、少し視点を変えて「お金と家族と生活」の話です。授業外の出費のリアル、パートナー帯同の実態、そして日本がまだ世界から期待されている理由をお伝えします。

関連記事:次回 → 「MBA留学のリアルなお金と生活」(記事⑤・最終回)

関連記事:前回 → 「MBAは英語力よりコミュ力」(記事③)

よくある質問(FAQ)

Q1. MBAで就職先はどうやって決まりますか?

A. 多くは、在学中のネットワーキング・関連授業・クラブ活動を通じて、狙う業界に向けて自分から動いた結果として決まります。「たまたま受かる」ケースは稀です。

Q2. M7でないと就職に不利ですか?

A. 一般的な就職先では学校名による差は小さく、最終的には入学後の努力次第です。一部のPE・ファンドのみ、採用校を絞る傾向があります。

Q3. 入学前のWhy MBAと変わっても大丈夫ですか?

A. まったく問題ありません。むしろ在学中に価値観やキャリア観が変わることこそ、MBAに行った価値だと言えます。

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