ヴェネツィアには、ゴンドラに乗ってこの橋の下を通る時にキスをすると二人は永遠に結ばれる、という言い伝えのある「溜息の橋」と呼ばれる橋があります。
ロマンチックでとてもヴェネツィアらしい観光スポットなのですが、実は、この橋を通っていたのは囚人たち。
ドゥカーレ宮殿から牢獄へ移される囚人が、この橋の窓からヴェネツィアの美しい景色を眺めながら、この世に別れを告げて溜息をついたことが、「溜息の橋」と呼ばれるようになった由来だと言われています。
ため息の橋(Ponte dei Sospiri)とは
ドゥカーレ宮殿と新牢獄を結ぶ橋で、ヴェネツィアでも大人気の観光スポットです。
もともと、ドゥカーレ宮殿内部に牢獄があり、そこに囚人を収容していたのですが、囚人の人数が増えたことで、16世紀にドゥカーレ宮殿から細い運河で隔てた場所に新牢獄が作られました。
溜息の橋は、ドゥカーレ宮殿2階にある尋問室(写真左側)と新牢獄(写真右側)を結んでおり、ドゥカーレ宮殿で有罪の判決を受けた囚人を新牢獄へ送るために使われていました。
実は「溜息の橋」と呼ばれるようになったのは、橋が架けられた16世紀ではなく、19世紀頃。
イギリスの詩人、ジョージ・バイロンが物語詩の中で、この橋を渡る囚人の気持ちを想像し、”Bridge of Sighs”と呼んだことが始まりだそうです。
観光スポットとしての「溜息の橋」
「溜息の橋」は今やヴェネツィアでも有数の観光スポットですが、3つの楽しみ方があります。
①パーリア橋(Ponte.Paglia)から「溜息の橋」を見る
私たちが目にする「溜息の橋」の写真の多くは、「溜息の橋」の並びで、一つ海側にあるパーリア橋から撮影されたものです。
写真で、「溜息の橋」の一つ奥にある橋からも、「溜息の橋」を見ることは出来ますが、距離的に離れているので写真に収めることは難しかったです。
パーリア橋は昼夜問わず、「溜息の橋」の写真撮影や見学に訪れた観光客で混雑しています。
夜の「溜息の橋」はライトアップされ、昼間とはまた異なった独特の雰囲気と美しさがあります。
パーリア橋から眺める「溜息の橋」も良いですが、海側には、運河を隔てたサン・ジョルジョ・マッジョーレ島を見ることが出来ます。
②ドゥカーレ宮殿から「溜息の橋」を渡る
実はドゥカーレ宮殿からこの橋の内部に入れます。
そして、ドゥカーレ宮殿から新牢獄へ、つまり当時囚人たちが渡った「溜息の橋」を自分でも渡ることが出来ます。
外部から見た「溜息の橋」は大理石の造りでゴージャスですが、中は木の造りで質素なものです。
大理石で出来た窓の格子から、ヴェネツィアを眺めることが出来ます。
政治的な理由などから無実で投獄された人たちは、この景色を見ながら何を思ったのでしょうか。
色々と考えさせられます。
「溜息の橋」の反対側から見たヴェネツィアの景色も。
ドゥカーレ宮殿の窓からは、かなりの至近距離で「溜息の橋」を見ることが出来ます。
大理石とそこに施された彫刻は、思わず溜息が出そうなほどの美しさです。
③ゴンドラで「溜息の橋」の下を通る
記事の冒頭でも書きましたが、ゴンドラに乗ってこの「溜息の橋」の下を通る時にキスをすると二人は永遠に結ばれる、という言い伝えは、とても有名で、「溜息の橋」の由来を「溜息が出るほどロマンチック」と勘違いする人がいるほど。
この言い伝えは昔からヴェネツィアにあったようですが、1979年公開のアメリカ映画「A Little Romance(リトル・ロマンス)」の世界的ヒットにより、一躍有名になったそうです。
私は映画をまだ観ていないのですが、どうやら主人公カップルがゴンドラに乗り、「溜息の橋」の下でキスをし、永遠の愛を誓うというシーンが出てくるそうです。
どうせなら、ヴェネツィアに行く前に観たかったな、と少し後悔しています。
「溜息の橋」は様々な角度から観光できる
悲しい歴史があったり、ロマンチックな言い伝えがあったり、外から眺めたり、中を通ってみたり、と「溜息の橋」には色々な見学の方法があります。
ヴェネツィアに来たら、ぜひ全ての角度から「溜息の橋」を堪能して頂きたいです。
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