通常の入場では入れない秘密の牢獄や部屋が見られる、ドゥカーレ宮殿のシークレットツアーについて、引き続きレポートしたいと思います。
前編をまだ読まれていない方は、こちらからどうぞ。
鉛牢獄(The Piombi)
天井が鉛製のため、鉛牢獄と呼ばれるこちらの牢獄には、政治犯や軽犯罪者など、身分の高い囚人や、収容が短期間の囚人が入れられていました。
鉛牢獄は、「井戸」と呼ばれる牢獄に比べると、ずいぶんと環境は良かったようです。
生涯1,000人以上の女性と関係を持ったと言われている稀代のプレイボーイ、ジャコモ・カサノヴァが最後に入っていた鉛牢獄です。
カサノヴァは、唯一この厳戒態勢の鉛牢獄からの脱獄に成功しています。
カサノヴァは宗教裁判で有罪になり、結果としてドゥカーレ宮殿の牢獄で5年間を過ごしましたが、実際は、娘との交際を反対した貴族による、事実無根の訴えだったことが残された文献から分かっています。
カサノヴァは後に、自叙伝『鉛の監獄と呼ばれるヴェネツィア共和国の牢獄からの我が脱獄物語』で、隣の牢獄に入っていた聖職者が脱獄のキーパーソンだったと述べています。
聖職者が入っていた牢獄。
聖職者は、自身の牢獄の天井に穴を開け、屋上に出た後、そこから隣のカサノヴァの鉛牢獄天井に穴を開け、二人で脱獄したそう。
そしてカサノヴァは、パリに向かう前、ヴェネツィアで最も有名なカフェ・フローリアンにて一服したそうです。
これがカサノヴァの言い分ですが、結局、カサノヴァと聖職者の入れられていた牢獄の天井に穴は見つからなかったそうです。
恐らく、この脱獄方法は事実ではなく、他の方法にて脱獄したようですが、未だに謎のままです。
後に、カサノヴァがヴェネツィアのためにスパイ行為を行っており、その貢献を認められ、帰国が許されたことが分かっているので、恐らく賄賂などではないか、と言われていますが、真実は闇の中。
武器庫(Armoury)
ヴェネツィア共和国時代の武器が保管されていた場所です。
このように屋根裏が武器庫になっていました。
カサノヴァは190cm近くあり、牢獄の中を歩き回ることができなかったため、決まった時間、このエリアで軽い運動をすることが許されていたそうです。
屋根裏の梁
ドゥカーレ宮殿の美しい天井の絵は、板絵で、天井に貼り付けられています。
それを、シークレットツアーでは、ヨーロッパ最大といわれる、大評議会の間(Sala del Maggior Consiglio)を屋根裏から、見ることが出来ます。
豪華な執務室
尋問官の部屋や、十人委員会から毎月選出される3名が使用していた三司法官の部屋は、とても華やかです。
ティントレットやヴェロネーゼの絵が天井には張り巡らされ、この辺りは通常の入場で見られるドゥカーレ宮殿の雰囲気です。
キャビネットのようになっている秘密の扉は、牢獄へと繋がっています。
部屋の他の隅にも全く同じ見た目の本物のキャビネットが置いてあるので、まさかこの一つだけが扉になっているとは、言われなければ気付きません。
立体的に見える床のデザインも特徴的です。
十人委員会へと繋がる秘密の部屋
実は、これらの執務室の廊下は、十人委員会の間(Sala del Consiglio dei Dieci)へと繋がっています。
秘密の扉、見えますか?
一番右が隠し扉になっていて、このように開きます。
シークレットツアー終了
1時間15分のシークレットツアーは、黄金階段(Scala d’Oro )横の前で解散になります。
ガイドさんともここでお別れです。
この後は、このまま通常の入場のための列に並ぶことなく、ドゥカーレ宮殿内を見学できます。
ドゥカーレ宮殿のシークレットツアーは絶対参加するべき!
シークレットツアーに参加してみて、ドゥカーレ宮殿が表と裏の顔を併せ持っていたということが良く分かりました。
ドゥカーレ宮殿がヴェネツィア共和国においてどのような役割を果たしていたかを理解する上で、シークレットツアーは欠かせません。
ツアーの参加者の中には、リピーターのご夫婦もいましたが、私も次ヴェネツィアを訪れたら迷わず参加したいと思います。
皆さんも、ヴェネツィアでぜひ、ドゥカーレ宮殿のシークレットツアーに参加してみて下さい。
絶対後悔しないはずです!
英語が得意でない方は、この記事などで前もって、ツアーの大まかな内容を調べて行くか、現地のツアー会社が行っている日本語でのシークレットツアーに参加するのがオススメです。
それでは、この記事にて、ドゥカーレ宮殿のレポートを終わります。
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