グラフィックノベルに突然はまった息子と、次は何を読もうかな。そう考えていたとき、アメリカに住んでいたころに仲良くしていたママ友たちに「グラフィックノベルで、ほかにおすすめはある?」と聞いてみました。すると何人かが教えてくれたのが、InvestiGators(インベスティゲーターズ)でした。

トイレに流れて下水道を高速移動する、ワニの秘密捜査官のお話です。設定だけ聞くと突拍子もないのですが、息子はこれに大爆笑で、あっという間にシリーズに夢中になりました。今日は、そんなInvestiGatorsがどんな作品で、英語多読にどう向いているのかを、我が家の様子とあわせて親目線でご紹介します。
※本ページはプロモーションを含みます。
InvestiGatorsってどんな本?
InvestiGatorsは、アメリカの作家ジョン・パトリック・グリーン(John Patrick Green)によるグラフィックノベルです。文も絵も本人が手がけていて、出版はグラフィックノベルの名門First Second。第1巻は2020年に出て、シリーズは今も続いており、2025年までに10巻が刊行されています。
主役は、2匹のワニの秘密捜査官、マンゴー(Mango)とブラッシュ(Brash)です。彼らはS.U.I.T.(Special Undercover Investigation Teams、特殊潜入捜査班)の一員で、ベストを着こんで事件を追いかけます。移動手段がとにかく奇想天外で、なんとトイレに流れて下水道をものすごいスピードで進んでいくのです。宿敵は、かつて仲間だったクラッカーダイル(Crackerdile)。
じつは、この主人公と宿敵の関係にも、ちょっとした言葉遊びが隠れています。マンゴーとブラッシュは、英語でalligator(アリゲーター)と呼ばれる種類のワニ。いっぽう宿敵クラッカーダイルの名前は、別の種類のワニであるcrocodile(クロコダイル)をもじったものです。日本語ではどちらもまとめて「ワニ」と呼びますが、英語ではalligatorとcrocodileは別の生き物として区別されています。いちばんわかりやすい見分け方は口先の形で、アリゲーターは幅が広くて丸みのあるU字型、クロコダイルは細くとがったV字型をしています。口を閉じたときも違いが出て、クロコダイルは下あごの歯が外にはみ出して見えるのに対し、アリゲーターは上あごが下あごをおおうので歯が見えにくくなります。体の色も、アリゲーターは黒っぽく、クロコダイルは明るい緑がかった色をしていることが多いです。作品では、この2種類のワニの違いを、そのまま敵と味方の関係に重ねているわけです。英語で読むからこそニヤリとできる、気の利いた仕掛けだなと思います。
そもそもタイトルのInvestiGatorsからしてダジャレになっています。investigate(捜査する)とgators(ワニ)をかけた言葉で、作品全体がこうした言葉遊びとおバカなノリで埋め尽くされています。ストーリー展開において、むずかしいことは何もなく、とにかく笑って読める。それがこのシリーズのいちばんの魅力です。
マンゴーとブラッシュのコンビも魅力的です。ひとりはのんびりマイペース、もうひとりは熱血で少しおっちょこちょい。性格の違う2匹が、道具を使いこなしながら事件を解決していく様子は、まるでバディもののアクション映画のようです。展開はテンポが速く、次から次へと事件が起きるので、ページをめくる手が止まりません。1冊が短めのお話で区切られているわけではなく、1冊まるごとひとつの事件を追う構成なので、最後まで一気に読み切りたくなります。
グラフィックノベルというジャンル自体がどういうもので、なぜ英語多読と相性がいいのかは、グラフィックノベルの選び方とおすすめ5作品をまとめた記事でくわしく紹介しています。はじめての方は、あわせてのぞいてみてください。
フルカラーで見やすい。でも中身はDog Manより少し歯ごたえあり
InvestiGatorsをおすすめしたい大きな理由のひとつが、全ページフルカラーだということです。じつは我が家では、以前The Bad Guysを買ったとき、白黒のページがイヤだと言って、息子が半年ほど読まなかったことがありました。幼児のころに読む絵本はたいていフルカラーなので、モノクロのページに戸惑ってしまったのです。そのときの顛末はThe Bad Guys(バッドガイズ)を白黒がイヤで半年寝かせた話にくわしく書いています。
その点、InvestiGatorsは色鮮やかで、絵そのものはとても見やすい造りです。すでにグラフィックノベルにたっぷり親しんでいた息子は、「読みやすい」と言って、最初のページからすんなり入っていけました。
ただ、ここでひとつ正直にお伝えしておきたいことがあります。フルカラーで絵が親しみやすいからといって、英語までやさしいわけではありません。InvestiGatorsは、セリフや地の文の量がDog Manより多く、言葉遊びもたくさん詰まっているので、じつはDog Manほどスラスラとは読めません。日本で英語を学ぶ子にとっては、いきなりこの作品を最初の一冊にすると、少し辛く感じてしまうかもしれません。フルカラーだから入りやすそう、という見た目の印象だけで選ぶよりも、まずDog Manなどでグラフィックノベルと英語にしっかり慣れてから、次の一冊として手に取るのがおすすめです。

我が家がInvestiGatorsを読み始めたきっかけ
冒頭でも少し触れましたが、我が家がこの本にたどり着いたのは、アメリカ在住時に仲良くしていたママ友たちのおすすめがきっかけでした。ある時期から急にグラフィックノベルに夢中になった息子を見て、「この勢いで読ませられる本を、もっと知りたい」と思った私は、現地のママ友たちに片っぱしから聞いてみたのです。すると、何人もがそろってInvestiGatorsの名前を挙げてくれました。
現地で子どもたちに人気の本は、やはり地元の親子がいちばんよく知っています。何人にもおすすめされる本は、それだけ子どもの心をつかむ力があるということ。実際に読ませてみて、その評判は本物だったなと感じました。海の向こうのお友だち家族が教えてくれた本が、こうして我が家の定番になっていくのは、なんだかうれしいものです。
読んだ時期でいうと、InvestiGatorsは我が家がいちばん最初に夢中になったDog Manを読んだあと、Cat Kid Comic Clubと並行して読み進めていました。グラフィックノベルにすっかり慣れたころだったので、テンポの速い展開にもぐいぐいついていけたようです。
実際に読んでみて、どうだった?
読み始めてまず息子の心をわしづかみにしたのが、あのトイレの移動シーンでした。マンゴーとブラッシュがトイレに流れて、下水道を猛スピードで進んでいく。その様子がとにかくおかしいようで、息子はページをめくるたびに大爆笑していました。しかも笑うだけでは終わらず、「地下がこんなふうにつながっていたらおもしろいな」と、自分なりに空想をふくらませていました。突拍子もない設定が、子どもの想像力にちゃんと火をつけてくれるのです。
もうひとつ、読んでいてほほえましかったのが、言葉遊びの楽しみ方でした。この作品には、vagueとvogue、doctorとcopter、sevenとSven、そしてcrackerdileというように、似た音の言葉をかけたダジャレが、あちこちに散りばめられています。息子はそれを見つけると、自分で声に出して言ってみて、そしてまた笑っているのです。意味を全部わかっていなくても、音の似ているおかしさを口に出して味わっている。英語の本を、目だけでなく声でも楽しんでいる姿に、こちらまでうれしくなりました。
そして、笑いだけではありませんでした。InvestiGatorsは探偵もの、つまりミステリーの構造を持っています。息子は「次はどうなるんだろう」と展開を予想しながら読み進めるのが楽しいようで、ただ笑って終わりではなく、物語をしっかり追いかけていました。犯人はだれか、この事件の裏には何があるのか。ヒントを拾いながら自分なりに推理して、答え合わせをするように読み進める。笑いの中で、先を読む力や物語を楽しむ力も育っている。親としては、そんなところにも成長を感じました。
くり返し読んでいたのも印象的でした。一度読み終えたあとも、お気に入りの場面を何度も開いては笑っています。英語の本を「もう一回読みたい」と自分から思えること。それ自体が、多読を続けるうえでいちばんの原動力になるのだと思います。無理にたくさん読ませなくても、笑える本が一冊あれば、子どもは勝手にページを開いてくれる。InvestiGatorsは、我が家にとってそういう存在になりました。
InvestiGatorsの英語レベルと、多読での立ち位置
英語レベルの目安もまとめておきます。InvestiGatorsの第1巻は、アメリカのAR(ATOS)でおよそ3.3、Lexile指数で390L。出版社は7歳から10歳ごろを対象にしています。あくまで英語圏の子ども向けの数字なので、そのまま当てはめる必要はありませんが、ひとつの目安にはなります。
数字を見ると、Lexileは390LとDog Man並みに親しみやすい一方で、ATOSは3.3とやや高めに出ています。この差の理由が、じつはこの作品らしいところです。ダジャレや言葉遊びが多いぶん、英語の語感がわかるほど深く笑える作りになっているのです。裏を返せば、英語力がついてから読み返すと、前は気づかなかったおかしさに気づいて、二度おいしい作品でもあります。
とはいえ、意味が全部わからないと楽しめない、というわけではありません。我が家の息子のように、フルカラーの絵で話を追いながら、似た音のダジャレを声に出して笑う、という入り方でも十分に楽しめます。絵とテンポで引っぱってくれるので、まず笑って読み進め、英語力がついたらもう一度味わう。そんな長く付き合える一冊だと感じています。
多読の中での立ち位置としては、Dog Manの次の一冊としてぴったりです。InvestiGatorsはDog Manと同じフルカラーで、絵は同じように親しみやすいのですが、セリフや地の文の量はDog Manより少し多め。だからこそ、Dog Manをすらすら読めるようになった子や、Dog Manだけでは少し物足りなくなってきた子が、フルカラーのまま無理なくステップアップできる一冊なのです。ミステリー仕立てで読みごたえもあるので、笑いながら物語を追う楽しさを覚えるのにもちょうどいい作品です。
どの巻から読む?揃え方のヒント
読む順番は、第1巻から順に読むのがおすすめです。マンゴーとブラッシュの関係や、シリーズを通した敵とのつながりが少しずつ育っていくので、1巻から追いかけると物語をいちばん楽しめます。タイトルもすべてダジャレになっているので、巻をそろえていくだけでもクスッとできます。
まずは第1巻を1冊試して、お子さんの食いつきを見てから買い足していくのが安心です。気に入ったら、複数巻のセットを選ぶと、1冊ずつ買うより手に取りやすくなります。本編を読み終えた子には、派生シリーズのInvestiGators: Agents of S.U.I.T.も待っているので、はまったあとも長く楽しめます。
Dog Man・The Bad Guysと迷ったら?タイプ別の選び方
グラフィックノベルはどれも人気で、どれから読ませようか迷う方も多いと思います。我が家の経験から、タイプ別の選び方をまとめておきます。
まだグラフィックノベル自体に慣れていないお子さんには、フルカラーで文字量もほどよいDog Manってどんな本かをくわしく解説した記事で紹介している定番から入るのがおすすめです。InvestiGatorsは、そのDog Manに慣れて、もう少し歯ごたえがほしくなってきた子の次の一冊としてぴったりです。同じフルカラーのまま、文字量を少し増やしてステップアップできます。白黒でも平気で、悪役ものの笑いとメッセージ性が好きなら、The Bad Guys(バッドガイズ)の紹介記事もあわせてどうぞ。それぞれのレベル感をまとめて見比べたいときは、Dog Man・Cat Kid・Captain Underpantsの3作品を徹底比較した記事が近道になります。
InvestiGatorsは、この中では「Dog Manと同じフルカラーで読みやすいけれど、文字数は少し多め」という立ち位置です。Dog Manを読み終えた子の次の一冊や、Dog Manだけでは少し物足りなくなってきた子のステップアップに、まっさきに候補に挙げたい作品です。フルカラーのまま、笑いながら物語を追う楽しさへと進めます。
こんなお子さんに向いています
我が家の経験から、InvestiGatorsが合いそうなお子さんの様子をまとめておきます。まず、Dog Manをすでに楽しく読んでいて、次の一冊を探している子。次に、トイレや下水道といった、少しおバカで突拍子もない設定を心から楽しめる子。そして、ダジャレや言葉遊びが好きで、声に出して読むのが好きな子です。探偵ものが好きで、先を予想しながら読むのが楽しい、というお子さんにもぴったりです。
反対に、まだグラフィックノベルや英語の本そのものに慣れていないお子さんには、InvestiGatorsはいきなりだと少し難しめかもしれません。フルカラーではありますが、文字量はDog Manより多めなので、先にDog Manなどでグラフィックノベルと英語に親しんでから手渡すほうが、無理なく楽しめます。しっとりした物語やきれいな言葉づかいを好むお子さんには、少しにぎやかすぎると感じられることもあります。タイミングと笑いのツボが合えば、一気に何巻も読み進めてくれるはずです。
よくある質問
Q1. 何歳くらいから読めますか
英語圏では7歳から10歳ごろが目安です。日本で英語を学ぶ子の場合は、Dog Manなどのグラフィックノベルに慣れてから読むと、無理なく楽しめます。フルカラーで絵は見やすいのですが、文字量はDog Manより多めなので、いちばん最初の一冊にはやや難しめです。
Q2. Dog ManやThe Bad Guysとどう違いますか
The Bad Guysが白黒なのに対し、InvestiGatorsはフルカラーです。Dog Manも同じフルカラーですが、InvestiGatorsのほうがセリフや地の文の量は少し多め。ミステリー仕立てで、ダジャレや言葉遊びがとても多いのも特徴です。Dog Manの次のステップにちょうど合います。
Q3. 英語のダジャレがわからなくても楽しめますか
楽しめます。我が家の息子も、意味を全部わからないまま、似た音のおかしさを声に出して笑っていました。英語力がついてから読み返すと、さらに深く楽しめます。
Q4. どの巻から読めばいいですか
第1巻から順に読むのがおすすめです。キャラクターの関係や敵とのつながりが少しずつ育っていくので、1巻から追いかけると物語をいちばん楽しめます。
Q5. 全巻そろえたほうがいいですか
まずは第1巻だけ試して、お子さんの反応を見てからで十分です。気に入ったらセットで買い足すと手に取りやすくなります。本編のほかに派生シリーズもあります。
まとめ
InvestiGatorsは、トイレから下水道へ流れて事件を追う、ワニの秘密捜査官のフルカラーグラフィックノベルです。ダジャレと突拍子もない設定で笑わせながら、ミステリーとして先を読む楽しさも味わえます。我が家では、白黒が苦手だった息子が、フルカラーのこの作品はすんなり読み始め、トイレの移動シーンに大爆笑し、言葉遊びを声に出して楽しんでいました。
笑って読めて、英語力がついたらもう一度おいしい。そんな長く付き合える一冊です。フルカラーで絵は見やすいですが、文字量はDog Manより多め。だからこそ、Dog Manに慣れた子が次に進む一冊として、まっさきにおすすめしたい作品です。
最後に、次の一歩の見つけ方を添えておきます。
グラフィックノベルの全体像から知りたい方は小学生に人気の英語グラフィックノベルおすすめ5選から、定番をまず一冊試したい方は我が家も最初に夢中になったDog Manの紹介記事から読んでみてください。白黒でも笑って読める作品を探すなら悪役なのに笑えるThe Bad Guys(バッドガイズ)、絵を描くのが好きなお子さんにはCat Kid Comic Clubの紹介記事、とにかく笑わせたいならCaptain Underpantsの紹介記事がおすすめです。三つを並べて選びたいときは、Dog Man・Cat Kid・Captain Underpantsの徹底比較記事が役に立ちます。
